【取引額400億円】Moonbirdsが1週間で400億円を超えるほどの成功をおさめることができた理由
Proof Collectiveから新たに販売されたPFP(プロフィールピクチャー)NFTである「Moonbirds」はNFT市場において前例がないほどの盛り上がりを見せた。
Proof Collectiveとは
約1000人にものぼるNFTアーティストとコレクターによって構成されているメンバー限定の組織(クラブ)であり、先日OpenSeaで発売された Moonbirds はそのクラブへの入会権を保有者に付与する。
Moonbirdsとは?
Moonbirdsとはイーサリアムブロックチェーン上にある10,000種類のNFTコレクションであり、それぞれのフクロウの絵にはユニークな特徴がある。しかし、「アート」そのもの以上に大事なことはそのフクロウの絵が所有者をメンバー限定クラブへ入会させることである。そして、長期間にわたって保有すれば、所有者に様々なメリットを与えてくれる。
本コレクションは4月16日の午後12時(東部時間)に販売され、一瞬にして世界中のコレクターたちによって完売した。現在(2022年4月23日時点)では総取引額は400億円を超えており、長い期間NFT市場のトップを走っていたMAYCやAzuki、CloneXをわずか数日で追い抜いている。
なぜ Moonbirds NFTはここまで成功したのか?
Moonbirds のここまでの短期間の成功を裏付ける一つの理由は Proof Collective を動かす「人」である。同社はプロジェクトのチームが経験豊富であることを自負し、他の成功しているNFTコレクションがそうしているようにそれぞれのメンバー情報を全てオンライン上に公開している。
Proof Collective の創立者はケビン・ローズ氏、ライアン・カーソン氏、ジャスティン・メゼル氏である。3人はweb2においても名をはせた人物tたちであり、特にローズ氏は過去に数々のベンチャーを立ち上げ、多くの成功体験を積んでいる。
また、同様にカーソン氏も起業家兼投資家である。過去には会社や非営利組織の立ち上げを経験しており、対照的にメゼル氏はグーグルやツイッター、フェイスブックといった大企業をクライアントとして持つデザイナー兼イラストレーターとして活動していた。
以上のように Moonbirds プロジェクトのメンバーが多様な方面において経験豊富であったことがここまでの成功に導いた一つの理由であることは言うまでもない。
アートの価値だけで語ることのできない、NFTにおけるユーティリティの重要性
もう一つの成功理由を挙げるとすれば、保有者に長期間に(主に経済的な)メリットを与え続ける「ユーティリティー」である。まず、Moonbird 保有者は Proof Collective の限定DIscordにアクセスすることができる。ここでは、Proof の創業メンバーや他の Moonbirds 保有者と関わり合うことができ、巷ではなかなか出回ることのない有益な情報を得ることができる。
また、Moonbirds 関連の新たなNFTに優先的にアクセスすることが可能になり、対面イベントや保有者限定の新たなプロジェクト(Moonbirdsに関連したメタバース)を体感することもできる。
さらに、Moonbirdsにおいて見逃すべきではない重要な要素の一つは「Nesting」(ネスティング)である。ネスティングとは保有者のウォレットとMoonbirdsを連結させることであり、連結中は売却することはできないものの長期間連結していることで今後発表が期待されるグッズなどの多様なベネフィットを享受することができる。このように保有者と長期的な関係を持続させ、背景にはMoonbirdsの価値も保持させていく戦略があることは明らかだろう。
今後どのようなユーティリティーが新たに追加され、Proof Collectiveはどのようにコミュニティを強化していくのか多くのコレクターたちが注目している。
「アート」本来の価値はどこへ?
本来アートの価値を図れるものはなく、極めて主観的な事柄にはなってしまうが、プライベートコミュニティ(クラブ)への入会権や新たなNFTコレクションへの優先アクセス権などといった「ユーティリティー」が重視されているのが今のNFTである。
Moonbirds is, afaik, one of the first majorly successful (so far) projects that is unashamed about what it is. Kevin and Ryan have been very clear that they're raising money, that they're not "selling art", that they'll treat the money as funds to build a product, etc.
— Daniel Tenner (swombat.eth) (@swombat) April 18, 2022
Daniel Tenner氏は「ケビンとライアンは『アート』を売っているのではなく、NFTで資金を生み出し『商品』を作り上げているということを明確にしている。」とツイートしている。ここでいう「商品」とは消費者に経済的な利益をもたらす金融商品という意味の方が近い。つまり、本NFTコレクションでは従来のアートの美しさはほとんど無視されていたことが指摘でき、本体に付随するものに全ての価値が込められていると言っても過言ではない。
Web3.0の時代におけるNFTの期待されていたことの1つは、中抜きを行う従来のプラットフォーマーがいないことからチャレンジャーによって人々を感動させるようなクリエイティブが世に送り出されるということだった。しかし、アートの「美しさ」が無視され、Moonbirds のように損得だけが重視されすぎている世界が現状のNFTの一側面と言えるだろう。