Bored Ape Yacht Clubの新プロジェクト「Otherside」について知るべきこと

 今年の3月にMeebitsとCryptoPunksを買収したBored Ape Yacht Club (BAYC) は激動のNFTの市場を牽引する存在である。そんなBAYCがNFT界を次のステップへと誘導しようと新たなプロジェクト「Otherside」を発表し、同時にそれに関連するNFT「Otherdeed」を発売した。多くの熱狂者は発売前から大きな期待を抱き、NFTは案の定ほんの数十秒で売り切れた。本記事では今NFT市場を大きく盛り上げている「Otherside」と「Otherdeed」について解説する。

 

 

「Otherside」とは?

 「Otherside」とはBAYCが新たに発表したゲームプロジェクトである。プロジェクトの詳細は現時点では公式に発表されてはいない。しかし、3月にリークした情報によるとBAYC以外にも、CoolCatsやWorld of Women、Cryptoazなどといった多くのNFTコミュニティーを巻き込んだMMORPG(Masively multiplayer online role-playing game、何百人ものプレーヤーと遊ぶオンラインゲーム)を構想しているとされている。ゲーム内には3月に新たに誕生した仮想通貨ApeCoinが使われる。また、ゲームの正式な発足前に関連NFTを発表することで多くの人々の期待をより大きいものにしており、その第一弾として「Otherside」プロジェクト関連のNFT「Otherdeed」を販売した。

 

「Otherdeed」とは

 「Otherdeed」とは「Otherside」ゲームプロジェクトに関連するNFTである。未だに具体的にどのようにしてゲーム内で活用されるのかは発表されていないが、ゲーム内の「土地」としての位置づけになることが予想されている。「Otherdeed」は4月30日の午後9時に55000個発売され、爆発的な需要から約45秒ほどで総額100億円以上のNFTが全て売り切れた。土地はApeCoinのみで販売され、価格はオークションではなく、一律305ApeCoin(約50万円)で販売された。また、公式は認めていないが、リーク情報によると200000個もの「Otherdeed」には「Koda」というレアキャラクターが隠されており、今までのBAYCのように保有者全員に同じような特権が与えられるわけではないようだ。

 既に多くの土地がOpenseaで再販売されており、投資家、Degenの期待に今回もYuga Labsは答えることに成功した。多くの「Otherdeed」は莫大な利益をあげて再販売されており、中には元値の500%の価格を付けたケースもある。

 ゲームプロジェクトが公式によって具体的に発表されていないにも関わらず、ここまで関連するNFTに需要が集まるということはBAYCのバブルが発生しているという推測もできる。今後次々と「Otherside」による関連するNFTの発表があることが見込まれるが、しばらくは高値を付け続けるであろう。

再び露呈した「ガス代」の問題

 ガス代とはイーサリアムブロックチェーン上の取引手数料のことを指す。手数料は一定ではなく、需要と供給のメカニズムで決定されるため、取引が集中するとガス代は増加する。ApeCoinはイーサリアムブロックチェーンを利用しているため、ガス代が発生する仕組みになっており、「Otherdeed」発売時にもガス代が急騰した。発売開始と同時にイーサリアムブロックチェーン上の取引の需要が上がり、中には2つの土地を買うために、2.26ETHものガス代がかかったケースがあったという。

 また、大量の取引が行われた結果システムがダウンし、取引が停止された人も多くいたため、Yuga Labsは返金作業を行った。

 今回の事例からブロックチェーンのシステムインフラの弱さが指摘でき、取引が失敗するような事態に陥らないよう強化することが急務だ。また、今後NFTや仮想通貨の市場が拡大していく中で「ガス代」といった根本的なシステムの再考や大規模な取引にも耐えられる環境を作っていくことが重要であろう。